麦さんぽ

思ったこと、起こったこと、感じたこと、そんなこと。

泣いて、笑って、音楽をして。

 アンサンブル試験当日の朝は早い。
日記を書き終えて九時、そこからギターの練習して睡眠。零時。夜更かしの原因はユーチューブな気もするんだけどちゃんとギター練習したことにフォーカスを当てて欲しい。
普段十時間睡眠の私が六時半に起きれるはずもなく。一時間遅れの行動を開始して、出発までの三十分にモーニングルーティンの全てを詰め込む。今日はアコギのジャックをガムテープで貼り付けるオマケ付き。
なんでお前はそんなにアコギから飛び出したがるんだ。
とりあえず今日のライヴを生き残るための応急処置。ちゃんと直すのはまた今度と、かれこれ半年は放置している。そろそろほんとにやばい。


 朝九時過ぎ、何故こんなに早く集まれるのか。バンドマンとは本来陽の光に弱い生き物のはずなのに。薄暗いライヴハウスが生息地なのに。
かくいう私は箱に入ったことはないんだけどね。
軽く全体のミーティングとPA、照明をはじめとするスタッフに挨拶をしてリハーサル。スタッフさん達には頭が上がらないよ、まじで。どんな事してくれてるのか詳しくは知らないんだけどね。
かつての同級生に軽く挨拶をして今の同級生と控え室に向かう。リハとはいえ手は抜けない。というか抜くほど余裕無い。ギター全部覚えられてない。やばい。まじで。


 やっっっばいよまじで。冗談じゃないくらいやばい。先生に今日ピッチ悪いね、ストローク変わっちゃってるよって言われた。三日間寝込んでたんです、朝一なんです。そう自分に言い訳しつつそれは関係ないことは分かっているので落ち込む、焦る。
でもちょっとはそのせいもあると思うんスよ。いやいや分かってます練習不足です頑張りますこれから覚えますよ。本気で。
ふてくされながら覚悟決めながらガムテープべたべたのアコギを撤収する。緊張はしないけど曲覚えてないヤバさで潰されそう。分かってるよ、分かってるよ。覚えるから、ちゃんと。


 本番、トップバッター。緊張はしない。しない。してないよ。別に。
ボーカルのMC、エレキギターの音で曲が始まる。四小節後の自分が鳴らした音からの記憶は、ほとんど無い。
最初の曲で一カ所ミスしたような感覚を引き摺りながら二曲目、三曲目。次で最期。星降る夜になったら。ひたすら楽しかった事だけは覚えてる。サビのコーラスをする度に口角が上がって目もきらきら輝いていったような気がする。
終わってからボーカル三人のリズムがズレてたといわれたけど。あふれるエネルギーで前のめりに走っちゃったんだよね。
でも楽しかったからいいじゃない。見てくれてた人からすごく楽しそうで良かったよって言ってもらえたんだから。楽しんだもの勝ち、そんなもんだろ。


 その後は他のバンドのアンサンブル試験見てたんだけど、やっぱり音楽っていいね。面白アクシデントとか、何も考えずに即興で喋るMCとか、演奏以外のところも笑って楽しめるのってライヴならではだよね。
もちろん演奏もすごい良かった。特に二年生ね。
自分らより一年長く学校で音楽をやってる、その差があるのは分かってるんだけど一年でそこまで変わるのかって驚くし、心をぎゅっと掴んでくる。最初の音、身体に響くバス、一体感、耳に入れても痛くない声。個人の技量もそうなんだけどやっぱり全体としての完成度が高かったよ。圧倒された。鳥肌たったし、なんなら涙がすぐそこまで来てた。ちょっと込み入った事情もあるけれど。
一年後、私は彼らみたいになれるだろうか。
それはまあその時になってみないと分かんないし、考えすぎも良くないよね。今を生きよう今を。

 

 

 内容が濃い一日って言葉にするの大変だなって思った。やっぱり大きいものを細かく鮮明にするのって難しいよね、それが大きければ大きいほど。好きって感情も次から次に溢れてきて大きすぎて細かく伝えることができない、なんてことも多々ある。不器用なだけかもしれないけど。
今日は頭からつま先まで音楽の日だったね。自分にとって音楽がどのくらい大きなものなのかって再確認させられたよ。笑って、泣いて、楽しんで。そんなのもう、人生じゃんか。

 気がついたらもう二十二時だし、まだまだ書きたいことはあるけど日付過ぎたら日記にならないしね。この辺にしておかないと。
明日は早いから紅茶とチルアウトできないね。名残惜しさはあるけれど仕方ない。さよなら、ダーリン。